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声調は生きた化石!?

中国語の大きな特徴と言えば「声調(四声)」ですね。そして、これがやたらと厄介なのも皆さんご承知。
声調がなければ中国語はもっと簡単だったのに!と思っている方、このブログで少し考えが変わるかも。
あぁ、声調って奇跡だったんだ!と思う…かな?

◆そもそもなんで声調?

日本語には声調がないですよね、英語にもないし、そして大部分の言語にも声調はありません。
じゃあ、これらの言語には抑揚がないのかというともちろん、そんなことはありませんよね。
疑問文の語尾が高めに浮き上がるのは万国共通ですし、イキイキと話す人の言葉には明るい旋律が感じられます。
でも、これらは疑問など特定の意味表示だったり。
話し手の感情の豊かさがあふれ出て来る場合がほとんどで、中国語の声調のように体系化されてはいません。
声調はかつて今よりずっと多かったと言われているので、それは何らかの理由で声調が役立っていたからでしょう。
では、この声調はなんのために発達したのでしょうか?

◆原始人の言語は声調だらけ?

あるゴリラの研究者によると、ゴリラたちは時々メロディーを伴った鼻歌のようなものを歌うそうです。
これはどうも彼らのコミュニケーションの一種なので、考えようによっては「最古の言語」だとする説もあります。
つまり、言語の発生には抑揚(=声調)が必要だったわけで、中国語学習者にはなんとも親しみを感じるお話ですよね。
では、なぜ声調が必要か?それは発音が下手だからです。

ゴリラなどは口腔内が人間のようなドーム型ではないため、舌を動かす空間が少なく、複雑な発音ができません。
実は原始人類の骨格にも、ゴリラなどに近い特徴があり、現代人のように複雑な発音はできなかったはずです。
その限られた発音の中で、できるだけたくさんの音を出す…、
そうです、これこそが声調の果たした役割だと考えられます。
発音数は少なくても、声調によって数が数倍されるので、よりたくさんの情報を表すことが可能なわけですね。

◆中国語は生きた化石?

やがて進化によって人類は複雑な発音機能を獲得します。
しかし、文明が進歩すると、それでも情報量(=音)は足りず、もっと多くの音が必要になっていきます。それに合わせて、多くの言語は複音節化へと進化していったと考えられます。
一つの音(=単音節)の種類を増やすより、複音節にすれば情報量は劇的に増え、しかも声調より判別が容易!
そして何よりも、話す際の消費エネルギーが少ないことで、いわば省エネ高効率の言葉の情報革命が起きたわけです。
ところが中国語は近代まで、単音節のみで音を増やし続けて、結果膨大な発音数の、古代語の「生きた化石」となったのです。
声調は中国人の涙ぐましい努力が残した奇跡だったのですね!

安易に複音節化せず、面倒な声調を残して来られたのは、やはり究極の単音節文字(=漢字)を使ってきたからでしょう。
しかし、この中国語も、近代以降の情報量には対処しきれず、双音節(=二文字)への道をようやく歩き始めたのです。
しかし、それでも中国語は漢字を捨てなかったわけで、となると、これからも声調との付き合いは続いていきそうですね。
さあ、どうする学習者?…って、練習するしかないよね。

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