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中国の人気スポーツは野球だった!?

 「世界杯[shìjièbēi]」への出場はまだまだですが、中国でのサッカー人気は既にご存知の通り。では、日本でもう一つの人気スポーツ、野球はどうでしょうか?
 中国人が野球をする姿なんて想像しにくいですが、実はかつて、野球は中国で人気のスポーツだったのですよ!今回は野球を通しての近代中国史を紐解いてみましょう。

●中国野球の推進者は人民解放軍?

 19世紀末、明治維新でいち早く近代化した日本は、中国にとって絶好の教科書で、その範囲は多岐に亘りました。その中には当然、野球「棒球[bàngqiú]」もありました。これだけ近い訳ですから、その影響は想像に難くありません。
 実際に、革命前に少年期を過ごした中国人に聞くと、かつては野球をやっていたという人に出会うこともあります。都会から地方都市まで、かなり普及していたようですね。中でも、野球を積極的に奨励していたのは、意外にも、人民解放軍の前身である八路軍だったというのです。野球は体力向上と規律育成に役立つとされており、兵士たちは戦闘や訓練の合間に楽しんでいたようで、部隊内では一番の人気スポーツだったと言われています。

●国家指導者にも野球ファンがいた!

 胡錦濤政権下で首相を務めた温家宝は、訪日の際に、かねてから願っていた日本の若者との野球を叶えました。

 胡錦濤が福原愛ちゃんと卓球勝負をしたのに比べ、中国の首脳が野球?とかなり意外に受け止められましたが、彼の時代背景を考えれば、温少年が野球に親しんだのも、実は十分に頷ける話なのですね。
 では、中国でそんなに普及した野球がなぜ衰退したのでしょうか?
 一番には、毛沢東時代の米中対立があると言われています。野球の本場であるアメリカは帝国主義者とされていましたので、そんな奴らのスポーツはけしからん、となっていった とか。で、代わりにサッカーが人気スポーツになっていくのですが…、
 あれっ?サッカーの本場ってイギリスですが、こちらも元祖が付くほど徹底的に帝国主義者呼ばわりされてきたはず。こっちは良かったのかなと、ついツッコミたくもなります。

●今はプロリーグもあり、人気は徐々に復活

 さて、長年中国の人々から忘れ去られてきた野球ですが、近年では一部に復活の動きも見られるようになりました。
 そして、その一翼を担っているのは日本のアニメでしょう。中国でも大人気のドラえもんをはじめ、アニメや漫画では、ストーリーの中で野球に触れることがしばしばありますし、野球漫画の金字塔とされる《タッチ「棒球英豪[yīngháo]」》も多くの若者の心を捉えてきました。
 また、北京や上海など、ある程度大きな都市では、たくさんの「棒球俱乐部[jùlèbù]」を見つけることができます。もちろん、大人が趣味として楽しむこともありますが、実は、子供の習い事として、野球は人気の選択肢だそうですよ。ゲームで家に籠りがちな子供たちの体力育成にもいいし、何よりもチームワークを育むのに最適と考える人も多いとか。

 そういえば、中国人はチーム競技が弱いですよね。90年代から国の主導でプロ野球リーグも作られましたが、サッカー同様、チーム競技の実力向上は前途多難です。ほぼ唯一、人気と実力が噛み合った例がバスケなのも、中国人のチームプレー5人限界説が囁かれる由縁です。かくなる上は、野球もサッカーも5人制の道を探りますか?

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