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陰暦とは?閏(うるう)年ならぬ閏月って?

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、新年ということで、今回は暦のお話をしたいと思います。

日本と中国は文化的背景が近いだけに、同じルーツの伝統行事が結構ありますよね。
例えば七夕[qīxī]もその一つ。字も同じ…でも…日付が違う!なんで?と思われた方も多いはず。

それは、中国は伝統行事を陰暦(旧暦)で祝うから。
この陰暦(阴历[yīnlì])とは?中国でよく聞くけど一体なに?

●そもそも陰暦って?

現在世界で主に使われている暦、つまりカレンダーは、欧州などで発達した陽暦(阳历[yánglì](太陽暦))です。
これは太陽の周期から一年の長さを割り出したもので、一年間の長さをかなり正確に示せるのが特徴です。

でも中国など多くの地域では月の満ち欠けを基準とする陰暦(太陰暦)が一般的でした。

月の満ち欠けの周期は、実は約29.5日なのですが、現実には0.5日が存在しないため、陰暦では、1ヶ月は29日と30日が交互にやって来ます。

それで、月のない新月(1日)から満月(15日)を経て、また新月に戻るというサイクルを繰り返します。
空にこんな便利なカレンダーがあるなら、当然使いますよね。

こうして陰暦は大いに普及し、特に東アジア地域では、冬が終わって春へ向かい始める辺り(今の2月前後)を
1月1日とし、中国語では「新春[xīnchūn]」と呼んだのです。

農業が盛んだった東アジア地域では、この陰暦によって農作業の時期を一般人にも分かり易くしました。
それで、中国では陰暦を「農暦(农历[nónglì])」とも呼ぶわけです。

●使い続けて分かる陰暦の重大欠陥

この便利な陰暦ですが、実は「一年の日数が足りない」という致命的な欠陥があります。
陰暦の12ヶ月は354日。実際の一年より11日も短くなります。

1年ならまだしも、3年経つと実際の季節より1ヶ月以上も前にずれます。
18年経つと、なんと真夏に「新春」がやって来ることに!
これじゃ、カレンダーとしては欠陥品ですよね。

●脆弱性修正ツール「閏月(闰月[rùnyuè])」!

そこで、この致命的欠陥の修正ツール「閏月」が登場!
新暦では4年に一度の「閏年」で1日足されますが、陰暦の閏月は、なんと1ヶ月を丸々付け足すのです。

歴史年号で「○○年閏二月」なんて言い方がありますが、「閏二月」とは、本来の二月の後に足された二月のこと。
閏月のある年は13ヶ月になるので、カレンダー上では季節が1ヶ月分遅れることになるわけです。なるほど!

それで春節(春节[jié])が早くなったり遅くなったりするのか!と、合点した方、お役に立てて光栄です。
春節の他にも、七夕や中秋節(中秋[zhōngqiū]节)など伝統行事はそうです。

閏月はほぼ3年に1回ありますが、正確にどの年か、また何月に付け足すのかは専門家が考えるようです。
何年か前倒しになった春節がいきなり後ろへずれたら、その年は閏月があったからなんですね。

実は、去年2023年は正にその年で、閏二月があったのです。
こうしてみると、昔は便利だったはずの陰暦も、天文学が発達した現代では逆に不便なのかもね。
だから、世界の暦の主流は陽暦になったのですね。

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