BLOG

陰陽のカオス—中国のカレンダー事情

お正月が明け、仕事が始まったと思えば、もう1月半ば。
今回は、以前ご紹介した陰暦と陽暦について、別の角度からご紹介します。

●二つのカレンダーが同居する中国

さて、日本では元旦を以て新年が明けましたが、中国では春節(春节[chūnjié])が本当の年越しなので、元旦はただの祝日というぐらいの位置付けです。

長らく陰暦(阴历[yīnlì])が正式だった中国ですが、もちろん今は陽暦(阳[yáng]历(太陽暦))が正式で、学校や会社などのスケジュールも陽暦で組まれます。

しかし、伝統的な祭日は今でも陰暦に則っていて、よく聞く「~節」というのがそうで、春節もその一つ。
でも、建国記念日の「国慶節(国庆[qìng]节)」は例外で、この「節」だけは陽暦の10月1日と定められています。

一説には、他の「節」も陽暦にするつもりだったとか。
でも、上手くいかなかったのですね。こうして中国では、陰陽二つの暦が同居していくことになります。

●なんと誕生日も二つ!?

多くの国の人にとって誕生日は一つだけですが、中国人はなんと二つもあるのをご存知でしたか?
これも二つの暦が同居する中で生まれた風習です。

もちろん正式な出生記録は陽暦の出生日ですが、それとは別に陰暦の誕生日を祝う人が結構います。
そして、多くの場合、陰暦の誕生日を重視します。

そっか…、そうやって伝統を守り伝えているんだ…って思ったら大間違いです。
一見伝統的なようで、実はこれ、割と最近現れた比較的新しい風習です。
だから、若い世代により多く見られるんですね。

なぜかって?実は、昔の中国人にとって、自分の誕生日は余り重要ではなかったのです。

●みんなで一緒に迎える誕生日?

日本でも昔は「数え年」という概念がありました。
中国も、伝統的な年齢の数え方はこれなんです。

今では「満年齢」が正式で、生まれた日を起点とし、丸一年経つと1歳(満1歳)とする数え方ですよね。
これに対して、数え年では生まれた年を1歳とし、次からは1月1日にもう1歳を加えて行きます。

新年にみんな揃って歳を取るんだから、誕生日なんて意味を持ちませんよね。
どうも陰暦の「閏月」が、満年齢には面倒だったみたい。
で、昔の中国では、一般人は誕生日を重視せず、個人の「お誕生日会」なんてものはなかったのです。

そして現在、西洋式の誕生日の概念を持つ若い世代が、陰暦とも隣り合う中国の生活の中で、陰暦でも誕生日を祝うという新たな風習を生み出したのです。

中国の伝統のようでいて、実は新しい概念も混じる。
そんな古いようで新しく、新しいようで古い風習が、いかにも中国的カオスを象徴していて面白いですよね。

関連記事

カテゴリー

ページ上部へ戻る