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Rの悲劇

写真出典:yahoo.co.jp

こんにちは!

発音の複雑さは中国語の大きな特徴ですが、中でも舌を巻くアレ、卷舌音[juǎnshéyīn]には
色々と悩まされている方も多いのではないでしょうか。

英語でも[r]という、舌を巻く音がありますが、中国語では[zh] [ch] [sh] [r]と、なんと4つも!
そして鍵となる[r]には驚きの秘密が…


写真出典:yahoo.co.jp

◆子音[r]が実は母音だった!?

中国語の音節(拼音)表で、[r]は左端の縦列、つまり、子音の列に配置されています。

子音は摩擦音で、🔗無気音か有気音に分けられる、というのがセオリーですが、
[r]はどちらでしょうか?

声帯が振動しているので、有気音ではありませんね。

じゃ無気音?でも、無気音も摩擦点が存在します。
つまり、発音器官のどこかで接触があるのですが、[r]では…実は接触していないので摩擦点がない…
そうです。[r]はなんと無気音でもないのです。

じゃ、なに?声帯が振動して、摩擦点がない…
これって普通に🔗母音(=声)じゃん!


写真出典:image.baidu,com

◆音節記号[-i]は紛らわしさ度MAX

音節(音节[yīnjié])表でよく??となるのが[i]と[-i]の区別。

[bi/pi/mi]など普通に「イ」と発音するのがある一方、
[zi/ci/si]や[zhi/chi/shi/ri]にも…これも「イ」と思いきや、全然違うんですね。

更にこれら二つのグループとも、同じ[-i]の記号を使いつつも、発音は異なるのです。
ややこしいので、[i](=イ)、[-i①]、[-i②]で表しましょう。

[zi/ci/si]の[-i①]は今回テーマからそれるので、さておき、一方の[zhi/chi/shi/ri]にある[ri]の記号を見てみましょう。

日本[Rìběn]の発音にも使われるのでお馴染みです。

では、この[ri]と子音の[r]はなにが違うのでしょうか?


写真出典:yahoo.co.jp

◆[-i②]=[ri]=[r]のフシギ

[-i②]は卷舌音[zhi/chi/shi]の母音で、🔗単母音の一つ。

単独の音なので、例えば[zhi]を発音し続けると、最初以外はずっと母音[-i②]の音が続きます。

この母音、一旦中断して再度発音すると…実は[ri]の音なんですね。
つまり[-i②]は[ri]と全く同じ発音で、そして[ri]のあとに、口や舌を動かしていくと[ra]や[rou]などの音になります。

そう、この3つ、実は全く同じ音だったのです!

なぜこんな紛らわしいことになってしまったのか?
それは[r]の発音が言語で異なるからかも知れません。

例えば、英語での[r]は、基本的に中国語と同じく、口腔内での接触がないため、摩擦点がありません。

しかし、他の言語では接触することが多く、摩擦点があるため、実際に子音として機能している訳です。

また、拼音制定の際、中国語の音節をまとめた表で、区分上[r]を子音として扱う方が分かりやすい、
といったようなことが議論されたのかも知れませんね。

中国語の発音を無理やりアルファベット表記した結果、[r]は不可解な役割を押し付けられたのかもね…

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